教科書で覚えた名詩

教科書でおぼえた名詩 (文春文庫PLUS)

教科書でおぼえた名詩 (文春文庫PLUS)

この本には小学校から高校にかけての国語の授業でやった詩、俳句、短歌、漢詩がいっぱい出てくる。きっと読んだら懐かしくなるに違いない。
宮沢賢治の「永訣の朝」も高村光太郎の「あどけない話」も「レモン哀歌」も載せられている。頭から読んでいると、これもあった!これもあった!となんだかうれしくなる。
そしてこれもあった。

ゆづり葉 河井酔茗


子供たちよ
これは譲り葉の木です。
この譲り葉は
新しい葉が出来ると
入り代つてふるい葉が落ちてしまふのです。


こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると
無造作に落ちる
新しい葉にいのちを譲つて


子供たちよ。
お前たちは何を欲しがらないでも
すべてのものがお前たちに譲られるのです。
太陽の廻るかぎり
譲られるものは絶えません。


輝ける大都会も
そつくりお前たちが譲り受けるのです。
読みきれないほどの書物も
みんなお前たちの手に受け取るのです。
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど。


世のお父さんお母さんたちは
何一つ持つてゆかない。
みんなお前たちに譲つてゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを
一生懸命に造つています。


今のお前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる
鳥のやうにうたひ、花のやうに笑つている間に
気が付いてきます。


そしたら子供たちよ
もう一度譲り葉の木の下に立つて
譲り葉を見るときが来るでせう。

この詩は小学校か中学校の、最後の国語の授業でやったことを思い出す。
ところで最後の授業といえば、まさしく「最後の授業」ってのを国語の授業で習ったっけ。
いちどやってみたいな「Vive La France!(フランス万歳!)」と書いて部屋を出て行くの。会議室のホワイトボードとかでもできそう。