『カラマーゾフの兄弟』今日読んだところからメモ。

「どうすれば身近な人間を好きになれるのか、おれはいちどだって理解できたためしがないのさ。おれに言わせると、身近な人間なんてとうてい好きになれない、好きになれるのは遠くにいる人間だけ、ってことになる」
(中略)
人間を好きになるには、相手に姿を消してもらわなくちゃならない。そこでちょっとでも顔を出したら、そのとたん、愛なんて雲散霧消しちまうのさ」

「思うに、人間に対するキリストの愛なんていうのは、もともとこの地上では起こりえない奇跡なんだよ。事実、彼は神だったしね。ところが、おれたちは神なんかじゃない。たとえばだ。おれがかりに、なにか深刻に苦しむようなことがあったとする。でも、このおれがどの程度苦しんでいるか、他人はぜったいに知りえない。なぜって、他人は他人であって、このおれじゃないからさ。それだけじゃない。人間てのはな、他人のことを受難者と認めることに、めったなことでは同意しないもんなのさ、まるでそれが偉そうな地位でもあるかみたいにな。」

「いいか、見習い僧、この世には、そのばかなことがあまりに必要なのさ。世界はこんばかなことのうえに立っているし、もしもこのばかなことがなかったら、世界にはきっと何も起こらないかもしれないんだ。おれたちが知っていることなんて、たかが知れているんだよ!」
第5編プロとコントラ  4 反逆


以上、人間の本質をえぐるような会話の続く箇所を、帰宅中の混み合った電車内で読んでいたところをご想像ください。

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)

読んでいるのは新約です(読みやすいらしい?)。
「カラ兄」って略称もあるみたいですね。