大雪山遭難でガイド登山を考える

一月前に大雪山系の大量遭難事故というのがありました。登山を主催した旅行会社の責任が問われそうな様子ですが、旅行会社に責任があるといえばある、ないといえばない・・・と私の意見はどっちつかずです。
現地での実況見分も行われているそうで、今後、旅行会社が刑事罰に問われる可能性は高いでしょう。
登山というのは極めて個人的な行為であると思います。それが営利目的のツアーとどうやって折り合いをつけるか???
どなたかのブログで、ガイド登山は、お客の満足度とお客の安全確保が相反するものだという意見が書かれており、なるほどな〜と思いました。安全を確保するならば、少しでも条件が悪ければ入山しないとか、一人でも体調不良者が出れば山行を中断して下山するとかせざるを得ないはずです。しかしそれではツアーの代金の面だとか、体調がよくてもっと行けるはずだったお客からは不満が出るわけです。でも、そういう行動の判断は仲間内の登山では当たり前にやることです。
山岳会育ちの私としては、ガイド登山というものに否定的です。山岳ガイドは不要・・・なんて極端なことまでは思いませんが、少なくとも自分でガイドを利用するということはないでしょう。ガイドが必要で、自分の個人装備までガイドに背負ってもらわねば登れないようなら、山に登りません(やっぱ極端か)。
山岳ガイドと言っても、スイス・アルプスじゃあガストン・レビュファあたりの山岳ガイドの伝統があり、この国では宇部長次郎などの山案内人の歴史、富士山の強力(ごうりき)の歴史があるわけです。それまでバッサリやる気はありません。
昨今のツアー登山は、かつての富士の強力に連れられた富士講に近い気がしてきました。するとやっぱりツアー登山もこの国の伝統に沿っていると言えなくもない。自力では登れない山に他人の力を借りて(お金を払って)登るという形は。


他人の力を借りる登山と、自力のみで行う登山とははっきり線が引けるでしょう。

星と嵐 6つの北壁登行 (集英社文庫)

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新版 劒岳〈点の記 〉

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