最新アルパインクライミング
ぴくっときたところを引用。
- 作者: 菊地敏之
- 出版社/メーカー: 東京新聞出版局
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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要領の良さとは要するに、今置かれた状況とやるべきことが完璧にわかっていて、それに向かって必要なことだけをする、不必要なことはしない、という冷静さのことだ。
一般社会ではあまり良いイメージに捉えられないこうした能力(?)は、しかし山では極めて重要だ。それはひとつには限られた条件でのスピード。またひとつには危険を回避する方法にも大きく関わってくる。
これが要領が悪いと余計な時間とエネルギーを使ってしまい、往々にしてパーティー全体を危機に陥れることにもなる。余談になるが、それゆえいわゆる「山ヤ」というのは一般人に比べて要領の良い人が比較的多いようにも思う。山では固定観念や前例に縛られること無く、柔軟に、そして無駄なくものごとに取り組むことがすなわち自分の身を守ることにつながるということが身についているからだ。
この文章に、「さらに自分の身を守るということは、仲間の負担を軽減し、仲間を守ることにつながる」と付け加えたい。
山ヤ以外の世界でこういうことをわかってもらえる人は少ない、というか、ほとんどいないといっていい。下界の社会で「不必要なことはしない」なんてことを始終やっていればたちまち「ジコチュー」というレッテルを貼られるのは間違いないのである。山ヤの世界はいい意味で自己責任原則に貫かれているんだけどねえ・・・