Ai Nikkor 50mm F1.2S


Ai Nikkor 50mm F1.2Sは全ニッコールレンズ中、もっとも明るい開放F値を誇る50mm標準レンズです。ニコンはMFレンズに対応する同じ光学設計のAFレンズを発売していたりするのですが、このレンズにAF版はありません。後ろに大きく突き出した後玉でAF化が困難だといわれています。AF用の電気接点が設けられないからです。
さてこのレンズの写りは大口径レンズらしく開放で猛烈なボケを生じます。ボケ方は画面中心から渦巻きを描くようにグルグルとしたもので、まるで非現実的な印象を受けることがあります。また開放付近では輝度があるところにハローを生じさせます。
開放での被写界深度は非常に浅く、ピント合わせに細心の注意が必要です。私はFM3Aと一緒に明るいというだけでこのレンズを購入し、開放で使用してピンボケ写真を量産してしまったことがあります。
色に関してはあっさりとした、寒色系に偏った発色をします。
F1.2〜2.8の間は被写界深度のコントロールというよりもボケ具合のコントロールといった絞りの使い方がよいでしょう。F4より絞るとすさまじいボケは薄くなって、優等生的な写真になります。
F1.2という明るさを生かしてこれで夜景を撮ろうというのは当然の発想ですが、収差のため開放で点光源がにじむという写り方をします。発売当時、「夜景に使えね〜!」という声があったのか、その後非球面レンズを使用し点光源もにじまない58mm F1.2ノクトニッコールが登場しました。いまではプレミアがついて当時の定価の2倍で取引されています。




Ai Nikkor 50mm F1.2S作例
ボディはD200 絞り解放



FM3A RDPIII