オレンジ電車

以前中央線沿線に住んでいて当然のように中央線のオレンジ色の電車を利用していた。
上りの中央線は西から東へ一直線に驀進してきて東中野を通過すると新宿駅へ滑り込むため巨大なRを描いてぐーっと南へ進行方向を変える。この時のスピードがどのくら出ているは知らないけれど、関西で大きな鉄道事故があったときはヒヤヒヤしたものだった。ところで「決められたレールの上を走る」って安定した人生を送ることの代名詞みたいに使われるけれど、あの鉄道事故は決められたレールの上をシビアなダイヤで走るのが、実はF1ドライバーみたいな運転テクニックを必要とするものだと教えてくれたっけ。
朝の通勤は立川あたりから人を運んでくるこの電車は自分の駅のあたりだとすでに超満員で、それでもなんとか体を押し込めば10数分で体は新宿に到着するのだから朝の忙しい時間に定時運行する電車は偉大である。その中では人は人間扱いされないが。
夏なんかこの電車の中はたまらない。頭がクラクラする中で窓の外を眺めると、そこには朝日に立つ新宿の高層ビル。東中野あたりから見る新宿高層ビル群は日本を代表する景観だと思ってしまうのだけれどこれは自分が田舎モノだからか?あの光景を通勤途中に見ていると時々ハッとするような洞察に至ることがしばしばだった。夜から悶々と悩み考えてきたことが、その時飛躍して洞察を与えたに違いない。残念ながら書き留めてもいられないので雑然とした記憶の中に散らばってしまうのだが。



中央線のオレンジ色の電車がなくなってしまうそうだ。
【鉄道ファン必見】JR中央線のオレンジ電車、もうすぐ見納め…
オレンジ色は中央線沿線の活気や猥雑さやモラトリアムっぷりを表すよい象徴だったと思う。他の人がいっぱい撮ってるだろから、あのオレンジ電車は撮らないでおくよ。