北ア・立山真砂尾根

2008/6/7〜8
北ア・黒部ダム〜内蔵助平〜ハシゴ谷乗越〜真砂尾根〜真砂岳〜室堂
(単独)


新幹線と高速バスを乗り継いで扇沢へ。トロリーバスを降りて観光客から抜け出して例のトンネルの鉄の扉を抜けると黒部渓谷である。ここに何回来たか。と思っても実際は片手で数えられるほどだろうから大げさなんだけど、それにしても通っているような気がする場所だ。前回はちょうど一年前、黒部別山に向かった時だった。
ダムのトンネルから黒部川へ降りると掛かっていた橋が落ちていた。飛び石で徒渉できるが増水したらどうなるのか?すぐ上流に黒部ダムがあるが、ここで橋が落ちるほどの増水はするということだ。定点観測みたいだが、昨年よりは雪が残っており内蔵助出合付近の黒部川本流は完全に雪に埋まっていて谷底をスタスタ歩いていけた。出合より内蔵助平への道は悪い。途中残雪に夏道が消えるので。赤テープにかなり助けられるが、気がつくと左手の丸山東壁へ向けて残雪をズンズン登ってしまったり迷いやすい。なるべく谷沿いにルートを取ること。この道にあまり巻き上がる箇所はない。
内蔵助平は白樺の芽吹きが始まっていた。雪原にできた小川の近くにツェルトを張る。ちょうど一年前も同じところに張った。
さて目的の真砂尾根は、長い。傾斜はさしてなく悪いところもない。雪を拾って歩けるが、上部は雪が落ちてしまっていてハイマツのヤブである。雷鳥がときどき姿を現す。右手にはずっと剱岳が眺められる。左手は黒部川と内蔵助平。上まで来ると高度感がすごい。鉈目とささやかなケルンが、かつてここに夏道があったことを示している。ハシゴ谷乗越と内蔵助山荘をつなぐ道だから夏山で使われたのだろうが廃れてしまった。高山帯の踏み跡はかなり長く残るからどのくらい前に道があったのだろう?眺望のよかった道に違いない。2584mの岩峰を右から巻いてさらになだらかになった尾根を進むと雪に埋まった内蔵助山荘の前に出る。永久凍土の眠る内蔵助カール、立山別山立山登拝の人は室堂から雄山を回ってきて別山で「地獄の針の山」とされた剱岳を拝んだそうだ。その頃剱岳は登ってはいけない山だった。そういえば新田次郎の『点の記』が映画化されるそうだ。
真砂尾根は4〜5時間で抜けられると思ったが甘かった。4時に出発、5時にハシゴ谷乗越、12時に真砂岳では予定オーバーなので室堂へ下山することを決める。もっと雪のある時期なら快適なルートになるだろう。富士ノ折立、立山別山近辺で、GW以降入梅前に適したルートを2〜3物色してきた。36枚撮フイルムを3本消費。
真砂岳より大走りを下るが、雪の大斜面で大斜面恐怖症がぶり返して足がすくむ。室堂は広大な雪原。空は青く、雲の陰がゆっくりと雪原を這っていく。白い砂漠をテクテク歩いて観光客でごった返す室堂バスターミナルへ。


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