ア・プリオリな知識

ゲーデルの哲学的信念である「現在知られているよりも、比較にならない多くの知識が、ア・プリオリに存在する」という命題がひっかかっている。
ア・プリオリに存在する知識とは何か? 例えば、ゲーデルがそれを証明するよりも前に「不完全性定理」が成り立っていたと考える。同様に誰もそれを証明しなくても、三角形の内角の和は2直角であることは真だろう。ゲーデルは「概念は客観的実在である」とも言っている。ゲーデルは数学的実在論を固く信じているようで、誰もそれを証明しなくても「不完全性定理」は成り立っており、自分はたまたまそれを証明したと思ったのだろう、何かの法則を発見した物理学者のように。
ところで誰にも証明されていない定理ってなんだ? それどころか、証明が不可能な命題(定理)があり得ることを、不完全性定理自身が証明しているのだが。