山と写真の雑記


山へ行くのにカメラを持っていくようになったのは大分前で、その時はオリンパスの30万画素のデジカメだった。その後、山岳会に入ると登攀主体の山岳会だったから余分な重量はご法度(「重量は敵だ」by ガストン・レビュファー)というわけで、デジカメを持っていくようなものなら白い目で見られてしまうのだった。そんな会だったからカメラといってもせいぜい写るんです程度となる。
なんたって山でカメラは登るのに何の役にも立たない。重いし、撮ってる間は何も出来ないし、食べてもカロリーにならないし(笑)、壊れるのに気を使わなければならない。下山してきて撮影の結果を見て、やっと意味を持つ。しかし山行中の印象を強烈に思い出させる写真は、非常に貴重なものだ。
長いこと余分な重量は持たないことをやってきたのだが、最初の戒めを忘れたのか、山行にNikon D50を持って行くようになる。このときも仲間に冷やかされたりあきれられたりしたのだが、前ほどではない。
撮影の方法は、カメラをたすきがけのバッグに入れてすぐ取り出せるようにし、行動中に風景や仲間の姿を、文字通り印象を切り取るようにして撮る。撮ろうと思ったら億劫がらずカメラを出す。山岳写真ではないので三脚で構図を決めて撮るようなことはしない。あくまで行動中に撮る。それだからすぐカメラが出せる体勢にしておくのは重要で、体の前にバッグでぶら下げるようにしているのだが、足元は見づらいし沢登りのへつりにも結構じゃまだ。しかし他にいい方法がない。腹の前にぶらぶらさせて、邪魔なときは横に回す。本当に邪魔になったり大雨になったときはバックごとザックにしまいこむという方法が今のところ採りうる最善なようだ。沢登りといえば、水没はカメラの大敵なので歩くのが慎重になった気がする。
梶山正さんという山岳カメラマンがいるが、冬の黒部横断など写真を撮っているような余裕もなさそうな状況で、その厳しい場面をきっちり撮っているのにあこがれる。梶山さんの写真は、山のモチベーションをかきたててくれる。岳人誌の梶山正さんの記事によると普通の山行では一眼レフボディと交換レンズ3本を持っていくそうなのだが、その重量を持って厳しい山行をやっているのがすごい。私もD50の時は重さは苦にならなかったが、D200にして重さが堪えるようになった。D80がちょうどよさそうだが経済的な余裕がない。
山で写真を撮るというのはたいてい天気が良いときで、雨だったり風雪だったりすれば写真を撮る余裕もなくなってくるし、写してもきっと結果はよくないだろう。けれど山行中もっとも印象に残っているのはそんな厳しい状況だったりする。そのような雰囲気やそのときの緊張感が後に残るような写真をいつか撮ってみたいものだ。